映画レビュー 999

映画の感想を次々書いて行きます。 ご意見ご感想もお待ちしてます。 映画について語れたら嬉しいです!

『永遠と一日』『霧の中の風景』すべてはアンゲロプロスの手の中

すべてはアンゲロプロスの手の中

あらすじ:作家で詩人のアレクサンドレ・アレクサンドロスブルーノ・ガンツ)は不治の病を得て、入院を明日に控え、人生最後の一日を迎える。母の呼ぶ声を耳に3人の親友と島へと泳いだ少年の日の思い出の夢から目覚める。

アルバニア難民の少年(アキレアス・スケヴィス)今はなき母(デスピナ・ベベデリ)先立たれた妻アンナ(イザベル・ルノー

憧れの詩人ソロモス(ファビリチィオ・ベンティヴォリオ)との再開出会いを繰り返し、永遠にも感じられる一日を過ごす。

オープニング。浜辺の家へゆっくりとズームアップして行くショットだけで感動してしまった。

なにかとんでも無いことが始まる予感。

旅芸人の記録』『ユリシーズの瞳』は既に見ているが、『永遠と一日』は『旅芸人の記録』依頼の大傑作!!

カメラが動き、人物を捉え、お芝居が始まり、音楽が鳴る。

全てが完璧に計算しつくされていて、誰もアンゲロプロスには逆らえない小心地いい束縛が常に存在している。

こんな映画は今まで見たことがない。

カメラが動いて人を捉えることだけで人を感動させることができる。

見てない人は絶対に見てほしい!!

あらすじ:11歳の少女ヴーラ(タニア・パライオログウ)と5歳の弟アレクサンドロス(ミカリス・ゼーケ)は、ドイツに住むはずの父親に会いに旅にでる。

無賃乗車で電車に乗っていたので途中でつまみ出され、山道で

旅芸人一座の青年オレステスストラトス・ジョルジョグロウ)と出会う。トラックに乗って町はずれの広場にやって来る。

雨のハイウェイで2人はトラックの運転手の車に乗せてもらう、翌朝アレクサンドロスが眠っている間にヴーラは運転手に犯される。再び列車に乗った二人だが、警察の影に怯え、列車を降りる。オレステスと再開し、三人は海岸をバイクで走る。

オレステスと別れた二人は国境につくが旅券がないため、川をボートで渡ろうとするが、国境警備に見つかり、銃に撃たれてしまう。

霧の中で目覚めたふたりの前に、緑の草原と一本の木が現われ、ふたりは木に向かって歩き出すのだった。

霧の中の風景』は『永遠と一日』とはまるで違う作家が撮った作品の様。

アンゲロプロスの代名詞、長回し、黄色いカッパの人物、直立不道のエキストラは、もちろん存在するが、登場人物が自分の意思で動いていて、生々しさが全面に押し出されている。

霧の中の風景』での登場人物はアンゲロプロスに操られている印象を強く受ける。

撮影も長回しを多用していて、二つの作品は同じカメラマンが担当しているにも関わらず、『永遠と一日』の撮影は圧倒的に素晴らしい。

霧の中の風景』のラストカット、画面が真っ白になり、ゆっくりとアレクサンドロスの影が鮮明になっていく映像は素晴らしく、感動的だが、この感動は物語的な要因が強いと感じられる。

永遠と一日』の撮影、映像は物語なんてお構いなしで感動的だ。

霧の中の風景』も、もちろん素晴らしい作品だが、『永遠と一日』の、そのすばらしさとは比べものにならい。

2012年1月24日アテネ近郊で新作映画の撮影中、道路を渡ろうとしてバイクにはねられ、搬送先の病院で死去。

霧の中の風景』で旅芸人一座の青年オレステスが軍隊に入るため、バイクを売るシーンでは、アンゲロプロスと重なった。

未完の作品を是非とも完成させてもらいた。合掌。

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