『刑事ベラミー』違和感こそが映画、違和感こそがシャブロル
違和感こそが映画、違和感こそがシャブロル
あらすじ:セート墓地のそばの海岸で、黒焦げの自動車と焼死体が発見される。
休暇中のベラミーは、妻が育った田舎町でのんびりと暮らしている。
TVでは、エミール・ルレの保険金詐欺事件が報じられている。男(ジャック・ガンブラン)がベラミーを訪ねてきて、名前も名乗らずに電話番号だけ伝えて帰る。
その後電話が入り、ベラミーは怪しい男ノエル・ジャンティと会う。
そこでノエルはベラミーに1枚の写真を見せ、その人物を殺したと告げる。写真に写っている男はノエルそっくりだった。
ベラミーの家に腹違いの弟ジャック(クローヴィス・コルニヤック)が訪れ、ベラミーとジャックの隠された過去、ノエルの保険金詐欺事件が明るみにされていく。
今回、フランス映画未公開傑作選にて
『刑事ベラミー』
『ある秘密』
を見てきた。
『三重スパイ』
も見たかったがお預け。
このブログでは『刑事ベラミー』について短く書きます。
シャブロル映画はご無沙汰だったが、始まってすぐに
これこれこの感じ!!
と嬉しくなった。
オープニングタイトルバックのテロップの動きのダサい感じで
この感じ!シャブロルの、この感じ、とゾックっときた。
シャブロルを見るたびに感じる違和感が随所に感じられてたまらなかった。
勘違いでなければ、切り返しの視線が微妙にずれていた、交わらない視線は映画の違和感を強調している。
事件は起きてるのか起きていないのか、曖昧で、心地良く時間が流れていく。
ベラミーは刑事だが、本格的に捜査に乗り出すのではなく
プライベートで捜査をする。
仕事と生活の境界線は曖昧になり、腹違いの前科者の弟との関係や妻との関係と親密になってくる。
「目に見えぬ別の物語が必ずある」
シャブロル映画には必須のびっくりオチがついて終わる。
別の物語が本当の物語だったのかもしれない。
とにかく、シャブロルのへたうま感満載の愛すべき傑作になってます。
シャブロルを再見したくなりました。
『ある秘密』クロード・ミレール
やはりというか、当然というか。
うまい!うますぎる!
文句なく面白いが、シャブロルのような天才的なひらめきや特別な違和感はなかった。
あればいいというものでもないと思うが。