映画レビュー 999

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『死刑弁護人』 真実はどこにもないあるのは偽りの真実

真実はどこにもないあるのは偽りの真実 

 

あらすじ:オウム真理教事件」の麻原彰晃、「和歌山毒カレー事件」の林眞須美、「名古屋女子大生誘拐事件」の木村修治、「光市母子殺害事件」の元少年。これらの死刑事件で、被告の弁護を担当してきたのが安田弁護士だ。死刑事件を受け負う弁護士が少ない中、「事実を究明してこそ、本当の反省と贖罪が生まれる」事を信念にしながら“悪魔の弁護人”と呼ばれようとも依頼人側に立ち続ける安田弁護士をカメラは追い続ける。

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死刑弁護人とはまさにこの安田好弘のことだ。

安田弁護士は、無罪を訴える被告人のことを信じ抜く。林真須美麻原彰晃に関しては冤罪だと信じている。

木村修治光市母子殺害事件の被告には、犯罪を認めているので、無期懲役になるよう弁護している。

 

世間的にあきらかな犯罪者を弁護する立場の弁護人は、国選弁護人に選ばれてしまったから

職業弁護士として従事しているだけだと思っていたが、仕事だから、とか弱い意思ではなく

自分の生涯と信念をかけて全力で取り組んでいる。(安田弁護士は麻原の弁護の際に別件で検察から家宅捜索を受けている)

 

和歌山毒カレー事件林真須美は、保険金詐欺で3億円を搾取しており、ヒ素を知人や旦那にもっている、これは誰の目からみても怪しい、怪しいどころか、犯人と断定して構わない気すら起きる。

だが、状況証拠しかなく、自供がないことから、安田弁護士は冤罪として、弁護に当たっている。

安田弁護士が冤罪として主張する理由はこうだ。

 

林真須美が鍋をきょろきょろと覗いていた目撃者の虚偽の証言。

→目撃者の当時立っていた場所からは見ることができない。

 

林真須美邸から発見されたヒ素は、検察の創りだした偽物の証拠。

ヒ素が入っていたと言うキッチンの下の棚、それを検察は家宅捜索の5日後に発見している。

隠してもいないのに5日後の発見とは遅すぎる。

 

・証拠として提出されたヒ素を混入したであろう、青い紙コップ。が偽物の証拠。

→証拠として提出された青色の紙コップの写真は当時白黒だったが、現物は普通の白紙コップで、証拠資料に青色の紙コップと書かれている事自体が偽物証拠ではないだろうか?

 

このような点から、安田弁護士は林真須美が冤罪として主張してる。

 

この映画おもしろいのがこの辺で誰もが知っている大悪党、林真須美がもしかしたら無実なのではないだろうか?

という気持ちがしてくる。

いや、そんなはずはない犯人は林真須美だ。

とすぐに気持ちはグラグラゆらいでしまう。

安田弁護士はマスコミは嫌い、事実を歪曲して伝えると主張しているが

では、この『死刑弁護人』は事実を歪曲して伝えてないか?

林真須美が無実である可能性のみを示して、検察の主張を一切伝えていないではないか。

本題からではないから、そんなものを伝える必要はないのかもしれないが

林真須美無罪説だけを唱えればそれを信じるひとがでてくるはず。

伝えるとは如何に難しいことかを考えさせられた。

作品をつくることとは、主張せずには成立しない作業なのかもしれない。

 

全ての事象には、真実があるけど、真実は作れるもので、絶対的に存在するものではないと感じた。

犯罪とは、裁判とは、死刑とは、この映画をみて、少しでも考えることができた。

 

自分の知っている事件とダイレクトにつながって、こんなにも考えさせられる映画(ドキュメンタリー)は今までに見たことがない。

死刑弁護人】絶対オススメです。

見れる機会は少ないと思いますが是非見て下さい。

 

 

死刑弁護人 生きるという権利 (講談社+α文庫 (G175-1))

死刑弁護人 生きるという権利 (講談社+α文庫 (G175-1))