映画レビュー 999

映画の感想を次々書いて行きます。 ご意見ご感想もお待ちしてます。 映画について語れたら嬉しいです!

映画芸術 2012 トップ10&ワースト10

映画芸術2012 トップ10&ワースト10+若松孝二

 

映画芸術 2013年 02月号 [雑誌]

映画芸術 2013年 02月号 [雑誌]

 

 

なぜか表紙がウェスアンダーソン『ムーンライト・キングダム』の映画芸術 422号 トップ10&ワースト10 の結果

 

【ベストテン】

1位 『かぞくのくに』(監督/ヤン・ヨンヒ

1位 『苦役列車』(監督/山下敦弘

3位 『Playback』(監督/三宅 唱)

4位 『旧支配者のキャロル』(監督/高橋 洋)

5位 『桐島、部活やめるってよ』(監督/吉田大八)

6位 『先生を流産させる会』(監督/内藤瑛亮)

7位 『黄金を抱いて翔べ』(監督/井筒和幸

8位 『ライク・サムワン・イン・ラブ』(監督/アッバス・キアロスタミ

9位 『その夜の侍』(監督/赤堀雅秋

10位 『SR サイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』(監督/入江 悠)

*『かぞくのくに』『苦役列車』は同率1位

 

【ワーストテン】

1位 『希望の国』(監督/園 子温)

2位 『ヒミズ』(監督/園 子温)

3位 『夢売るふたり』(監督/西川美和

4位 『アウトレイジ ビヨンド』(監督/北野 武)

5位 『あなたへ』(監督/降旗康男

5位 『ヘルタースケルター』(監督/蜷川実花

7位 『悪の教典』(監督/三池崇史

8位 『鍵泥棒のメソッド』(監督/内田けんじ)

8位 『桐島、部活やめるってよ』(監督/吉田大八)

8位 『終の信託』(監督/周防正行

*『あなたへ』『ヘルタースケルター』は同率5位

*『鍵泥棒のメソッド』『桐島、部活やめるってよ』『終の信託』は同率8位

 

ベストテンの中で見ているのは『苦役列車』『桐島、部活やめるってよ』『黄金を抱いて翔べ』で大きいことを言える立場にないが、苦役列車の1位は文句なく、それでいて意外性を欠いたランキングだったと思う。

見れなくて残念だったのは 『Playback』(監督/三宅 唱)CO2で撮った『やくたたず』を見ているだけに残念だ。 『ライク・サムワン・イン・ラブ』(監督/アッバス・キアロスタミ)“あの”キアロスタミが日本で撮った!これは間違いなく傑作であり、事件だ。だが公開期間も短く足を運ぶことができなかった。

 

去年公開の映画でこのランキングで17位に入っている『親密さ』(監督/濱口竜介)を今年に入ってから見た。

この映画尺が255分あり、オールナイトでないと上映ができず、広く見てもらうことができない。自主制作で255分役者は皆学生の映画を一般公開することは、もはや不可能だと思われるが、私が見た2012年に公開された日本映画のなかではダントツで1位だ!!とにかく、レベルが飛びぬけている。

この映画を見た人がもっと多くいればこのランキングが大きく変動していたと思う。

 

ワーストテンは『希望の国』『ヒミズ』『アウトレイジ ビヨンド』を見ているが、『ヒミズ』は取ってつけた様な震災の取り入れ方はさずがにやりすぎだと思う。震災の影響で市井の人々のバランスが崩れたという話だったのかと疑問が残った。

逆に『希望の国』は良かった。大きな事件により、ある種マインドコントロール的に人々に変化が加わっていく。

映画芸術は園 子温が嫌いと言うことだけは分かる。

2011年『恋の罪』ワースト3位 『冷たい熱帯魚』ワースト6位

ただ2009年『愛のむきだし』はこの年のベストワンに選ばれている。

メジャーになった途端ランキングが下がる素直さが映画芸術のいいところでもある。

 

といろいろなことを考えながらこのランキングを見るのは毎年の楽しみになっている。

だが、今年はこれに続く特集

『追悼 若松孝二、その光と影の果てに』

がとにかく面白い!

前半の若松孝二に向けた追悼文ですでにあれ?ん?

と思うのだが後半の

『座談会 若松孝二の境界なき虚像と実像』

でその違和感は確信に変わる。

 

座談会の参加者は60年代から70年代にかけて若松プロダクションで働いていたメンバー7人。

座談会はそれぞれ若松孝二との出会いの話から始まり、徐々に過激な本音が飛び出す。

細かい内容は読んで楽しんでもらうとして。

何も知らない読者とて読んだ感想としては、若松孝二はケチで60年代の神格化した評価は若松孝二があごで使ったブレーンのおかげであり、映画をなめ腐っていたからこそ傑作を生み出させた。

晩年の若松孝二作品は総じてどうしようもなく、原因は才能の無いおじいさんにやりたいようにやらせているから。

若松孝二どんだけ最低な人間だったんだ・・・。

 

おもしろかったので一部抜粋する。

『自分のところで助監督をやったものを監督にするというのは、理由がふたつあるんだ。頑張ったから、褒章を与えるみたいなところがひとつと、自分がプロデューサー料をピンハネ出来て儲かるというのがもうひとつ。製作費300万円からプロデューサー料120万引かれて、『堕胎』なんて180万で作った。』

 

『足立:プロデューサーやった葛井さんに言わせると、ATGが600万、若松プロが600万で1200万なんだって。それをATGがだした600万だけでやって、それから若松がプロデューサー料をまた抜いて 高間:普通は1600万なんだけど、若松プロだから1200万なんだよ。それで、600万、600万のはずなんだけど、若松プロは全然出してない(笑) 足立:その600万から頭にプロデューサー料として200万は抜く。それはしんどいと思うよ。』

 

『巨匠といわれた養老院の老人を楽しませてるような映画の作り方になり、それで済んでしまっている 荒井:『17歳~』以降ね。 足立:映画ごっこ、養老院ごっこで、若松さんのやりたいように作らしてるというね。』

 

一番近くで戦ってきた人たちの言葉はやっぱり違う。

死んでなお出てくる言葉は、称賛より罵倒、こんな行き方ができる若松孝二はやっぱりスゴイ!!