映画レビュー 999

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『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』 不在のメタファー映画

メタファーだらけに見えてそのメタファーの存在が感じ取れない、不在のメタファー映画

 

あらすじ: 吸血鬼でありながら、どんな弦楽器でも弾くことができるミュージシャンとして活動中のアダム(トム・ヒドルストン)。

アンダーグラウンドな音楽シーンに身を置いて人間たちと共存しているが、何かと自己破壊的な言動を取る彼らに対して複雑な思いを抱いていた。そんな中、何世紀も恋人として愛し合ってきた同じ吸血鬼のイヴ(ティルダ・スウィントン)が、アダムが暮らすデトロイトへとやって来る。久々の再会を楽しもうとする二人だが、イヴの妹エヴァミア・ワシコウスカ)が現われる。

 

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メタファーを掴みそうになるが手の中からこぼれ落ちてしまう。

それは、見るもの(わたし)自身の経験値不足か、それを計算に入れての作品なのか。

例えば「ロスにあふれるゾンビ」いかにも比喩的な存在だ。それを、業に染まった人間達と捉えるのはあまりにも安易だし、それをジャームッシュは是としていない気がする。

例えば「デトロイト、モロッコ、ロス」この各所も意味ありげし「音楽を愛するヴァンパイア」「アダムとイヴ」・・・

上げればきりがないが、それは考えるだけ無意味だし、オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴを語る上でそう重要なことではない。

この映画が素晴らしいのは純粋映画と言うことだろう。

冒頭俯瞰の回転しながらズームしていき、そこに音楽が被さる、この気持ちよさトリップ感にイッキに持って行かれた。

すべてに一貫していたのは「美しさ」もうすべてが美しい。アダム(トム・ヒドルストン)イヴ(ティルダ・スウィントン)が裸でベッドに寝ているカットのうつくしいこと

こんなに美を感じる映画はあまり見たことがない。

 

血のアイスを食べて、死体を底なし沼に沈めて、カップルを襲い餓死を免れる。

 

ぜんぜん関係ないが、幽遊白書の雷禅が「あぁ腹減ったな」と言って餓死する名シーンを思い出した。